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大地と繋がる靴との出逢い(前編)

2019.06.03

大地と繋がる靴
ORIGINAL DANISH DUCKFEET
Quality Craftsmanship With a Long Life Time

1975年にデンマークで生まれ、
今も世界中で愛されているダックフィート。

創始者 Mr. and Mrs.Wiechmannの靴に込めた想いを
22年前の出会いとともに辿る。

 

***

誰にも左右されない、自分は自分だと語りかける靴。

DUCKFEETとの出会い
1997年 冬 London

 DUCKFEET(以下ダックフィート)との出会いは、今から22年ほど前の冬だった。

 靴を生業としはじめたばかりの僕は、理想の靴を求めてヨーロッパ中を歩き、旅の最後に寒さ厳しいロンドンの街を訪れた。インターネットも携帯電話もない時代、頼りになるのは片手に持ったロンドンの地図。毎日15キロほど歩き続けて約10日、ついに見つけた小さな靴屋。日も暮れそうな夕暮れ時に、柔らかい灯が木製の扉越しに見え、ウィンドウに佇む靴たちを見た時に覚えた期待感。木製の扉を開けると、床一面の古材とアンティークの家具に見たこともない靴たちがところ狭しと並んでいる。狭い店内は4人から5人のお客様でいっぱいだ。こんな靴屋が世界にはあるんだと、興奮がとまらないまま狭い店内をゆっくり見回した時、床の片隅に置かれた靴に目が釘付けになった。一足の靴が放っている存在感に引き寄せられてその場にしゃがみ、靴を両手で持ち上げじっと見つめた。分厚い一枚革と天然ゴムのアウトソールが両手にずっしりと重みを感じる。

 「この靴だ」。誰にも左右されない、自分は自分だと、そんな風に靴が語りかけてくるみたいだ。

 “ORIGINAL DANISH”の焼印が中敷に刻印され、かかとの外側に付けられたデンマークの赤い国旗は、作り手の誇りを感じてなんともかっこいい。ひとり感極まっている変わった日本人客のことなどおかまいなしでおしゃべりしているスタッフに、この靴のサイズ、4445有りますか? と聞いた。

 日本では僕が履けるサイズはまずない。ありますようにと祈りながら待っていると、若いスタッフが二足の靴を持ってきてくれた。箱から出てきた靴は、革と天然ゴムの匂いが新鮮だ。アンティークチェアに座り、靴に足を入れ、柔らかい靴紐でキュッと締める。こんな風に靴を履く瞬間は心地よい。分厚い革で包まれた足は、指先までまっすぐに伸びる。柔らかい天然ゴムのアウトソールに身体を乗せると、これまで履いてきた靴と全てが違う感覚を覚えた。何が違うのか、この時は分からなかった。とにかくこいつを連れて帰ろう。帰国したらコンタクトをとってこの靴を日本で売ってみたいという思いが、自然と心の底から涌きあがってきた。

ロンドンで購入した靴は22年を過ぎた今も大切にしている。

(後編はこちら)

 


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