THE NATURAL SHOE STORE

MENU

[神宮前店]『うたい歩いて~ましこのうた~』を終えて(2019/3/21-4/18)

催し等のご案内

 春の月がひと巡りするあいだ、「ましこのうた」と共に歩いた神宮前店での『うたい歩いて』は、4/18をもちまして終了致しました。

 春分の日の夜に開いた、はじまりを祝う「ましこのうた」演奏会、そして会期最終日に迎えたクロージング演奏会と、共に満員御礼を頂きまして、ご来場頂きました皆さまには心より感謝申し上げます。また、本企画のため、手仕事による暮らしの道具の数々を製作、ご用意頂きました益子に暮らす作り手の方々にも、深く御礼申し上げます。

 

遠い 遠い  むかしから
お前を守っている
命の環を  繰り返し
お前のもとが  ここにある

土を耕せば  風景が変わる
おまえの生き方が  町を変える
おまえの歌が  風を呼ぶ
そして  また  今日が やってくる

『益子の歌』
作詞・作曲 石塚明由子

 これは、「ましこのうた」が届ける「DVD  & PHOTOBOOK」に収められた、石塚明由子さんのうたう歌の歌詞の一節です。

 「ましこのうた」は、一人の歌い手が巡り合う偶然の重なりのなかで、栃木県益子の土地で立ち上がり、それに共鳴する個人の繋がりから発信されているプロジェクト。益子町から公認されるいるわけではなく、歌い手、写真家、デザイナー、そして「ましこのうた」の企画者でもある編集者という、4人の個人がそれぞれの仕事と感性を持ち寄って共に歩き、新たに出逢う風景に応じながら一つずつ形にしている取り組みです。

 そこに込められた、土地や文化の違いを越えて、私たちの日常にある生きる姿に光をあてたメッセージ。

 音の響き、目に映るもの、内から聴こえる言葉、そしてそれらをひとつの型に綴じた、肌で触れてめくることのできる一冊のPHOTOBOOK。この一冊と一枚のDVDを携えて、「人が集う時間と空間」をつくりながら、私たちの五感に向けて「ましこのうた」は届けられます。

 ザ ナチュラルシューストアは静岡で生まれ、ご紹介してきた靴の多くは海の向こうで作られるものですが、折に触れて、これまで私たちは益子の土地に関わる人々とのご縁を重ねてきました。

 私たちを最初に益子と繋いでくれたのは、デンマーク生まれの『duckfeet』の靴でした。代表の種本が20年前にロンドンの街角で出逢って以来ご紹介を続けてきた、家族経営の小さな靴屋さんです。

 duckfeetは、創業当時より「本当に大切なことは何か」を問いながら “シンプルであること” を守り、1975年から変わらぬ靴を一点一点作り続けています。その靴を日本で最もお客様に届けていたのが、益子の土地に根を下ろして暮らす人々でした。彼らとの出逢いをきっかけに、様々なかたちでの取り組みが生まれましたが、その一つが、今から10年前の神宮前店の空間づくりでもありました。

 出逢いとは、そんな風に偶然のように突然あらわれ、通り過ぎていくものもあれば、まるで必然のように立ち上がり、それぞれの場所や人生に、深く刻まれていくものもあります。

 今回、ナチュラルシューストアが「ましこのうた」の皆さんとお会いしたのは、ひとつの場所が閉店という終わりを迎えようとしていた2018年の夏のこと。それもまた、偶然の重なりによるものでした。あれから十ヶ月、季節を超えて、春を迎え、こうした場をつくることができたのは、偶然から立ち上がった必然と思います。

 そんな偶然は、「うたい歩いて」を締めくくるクロージングライブの瞬間にも溢れていて、あの夜お集まりいただいた皆さんのもとでも、この先に繋がる何かが密かにはじまっているかもしれません。

 会場では、参加された皆さまから頂いた言葉が、次の瞬間には石塚さんとイシイタカユキさんによる即興演奏にのり、繰り返されることのない二つの歌が生まれました。

たゆたう水に揺れるサウンドのなか
一つの輪へと繋がれる、異なるいのちの異なる言葉。

ふたつとない
目の前にひろがる無数の偶然。

偶然はこの瞬間に、生まれ繋がり、
次の瞬間には消え、刻まれて、また生まれてを繰り返す。

うたうこと、歩くこと。

歓びの歌、哀しみの歌。
朝の軽やかな足取りも、重たい夜の一人歩きも。
時には後ずさりをすることも。

おおきな環の中で、それぞれの名のもとにリズムを刻み、ステップを踏む。
そうして響き合う、いのちの歓び。

繋がり合う、ひとりひとりのうたい歩く日々に、想いを寄せて。

(2019.4月)

以下、「ましこのうた DVD & PHOTOBOOK」企画制作 簑田理香さんの「あとがき」より。
________________________

長い長い年月をかけて形づくられた地球の大地の上で
私たちは生きることを許され、過去から生きることを託されている。
何億何兆分の一くらいの必然的な偶然で
この時代に、この土地に、あなたとともに生きている。
土地の風土に呼ばれて移り住み、
風土に育まれた感性で手の仕事を続けてきた農家や工芸のひとびと。
その手が生み出すものに惹かれて、この土地を訪れるひとびと。
ひととひとのつながりが、過去から未来への点と点をつなぎ、層を重ねて、
私たちは、この土地に生きることで、いのちの環を未来に託す。
「うた」と「風景」と、共に。

https://mashikonouta.com/

ましこのうた DVD & PHOTOBOOK
 歌:石塚明由子 |  音:高松泰
 画:長田朋子
 アートディレクション:須田将仁
 企画制作・発売元:地域編集室 簑田理香事務所

うたい歩いて 期間中展示
[陶芸]饗庭孝昌、鈴木稔、成井窯、レミトオットー
[木工・木彫]星居社、古川潤
[布もの]komichi、nociw
[ジュース]山崎農園

________________________

*『うたい歩いて』期間中の様子は、こちらをご覧ください。
・2019.3.21 opening event 「ましこのうた」演奏会
・2019.4.10 歌詞をつくるワークショップ
・2019.3.21-4.18 暮らしの道具展示風景

*店頭でご紹介させて頂いた益子の作り手による暮らしの道具は、販売を終了しております。
「ましこのうた DVD  & PHOTOBOOK」は、引き続き神宮前店にてご購入頂けます。(tel.03-5775-6870)



PAGE TOP