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急に書きたくなった手紙「行く春や」

2019.05.02

こんにちは。
お変わりありませんか?


じつは、
長年とてもだいじに思っていた小さなミュージアム※ が、3月で閉館してしまいました。



浅草は浅草寺のすぐ脇、観光客で賑わう場所にありながら、
青森の古い継ぎ接ぎの布「ぼろ」を淡々と展示している、という異色の空間で、

( ↑ ちいさな端切れも捨てずに だいじにとっておいたそう)


曲がりなりにも青森にルーツのあるわたくしが
故郷の文化を知りたくてたどり着いた場所でもありました。





物が今ほど豊かでなかった時代。


薄くなったり破れたりした衣類は、
継ぎを当てたり、糸で細かな縫い目を入れることで補強され
(あるいは保温性が増し)

( ↑ もとのようすがわからないほど重ねられた布と刺し跡)


すがたかたちを変えながら、
人びとの命に添いました。



ひと針ひと針が祈りにも似る
継ぎ接ぎ。そして刺し子。


それは青森だけでなく、
日本各地はおろか、世界中で見られる
人間の、生活の術です。

( ↑ こぎん刺や南部菱刺をはじめ、あちこちのうつくしい刺し子のルーツでもある)


浅草のミュージアムに並べられたそれらは、


MOTTAINAI や Ecology を超え、


美しさや醜さ、
聖俗すらも超えた何か、のようでした。

( ↑ 擦り切れては、また布を)


命を繋ぐための、なりふり構わぬそのすがたに、
わたくしは、いつもボロボロと涙が溢れてしまいます。




「物には心がある」


ぼろや民具を収集し、ミュージアムの館長も務めた田中忠三郎さんのことばです。





生産や消費がどんなに多様化しようとも、
「心のある物」の心の声に耳を澄ませますように。
「心のある物」の存在に目を凝らせますように。



あたらしい元号のはじまりの、わたくしのちいさな誓いです。




ひとつ、ふたつ、節目をむかえた春、

唐突に、教科書に載っていた句を思い出しました。




行く春や鳥鳴き魚の目は泪  ※※




平成元年生まれの歌い手、折坂悠太の唄う「平成」が
いつまでも耳に残る4月のおわりでした。



どこかで再び「ぼろ」が展示されるときが来たら、
足を運んでみていただけると嬉しいです。




また、お店でお会いしましょう。


かしこ

( ↑ 家族の足を守るため、刺し子や継ぎ接ぎをほどこした足袋)



※アミューズミュージアム。館内すべて写真撮影可の施設でした。
※※
松尾芭蕉


(y.t.)


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